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2006-02-18

MIT のプラクティカでシュールな経験

アメリカはマサチューセッツ州ボストンの隣のケンブリッジに出張の貴会があった。ハーバード大学や MIT (マサチューセッツ工科大学)のあるので有名な大学町である。東京やサンフランシスコとは比較にならないが、ケンブリッジ、ボストンもタンゴが盛んで、ミ ロンガやプラクティカがあるので、3つほど覗いて来た。

最初の夜行ったのは小さなギャラリーであるミロンガで、参加者は一番多い時で20人位?ちょっとしたスナックと水が飲み放題食べ放題。こじんまりとしたミロンガだったが、上級者が結構来ていて、今思うと一番よかった。

次 の夜は、ダンスのために作られた施設にある、舞台のついた大きなスペースで行われるミロンガ。雰囲気はいいが、ちょっと照明が明るすぎで、飲食は水だけ なので、ミロンガのような練習会のような、変な気分。初心者から上級者まで、いろいろなレベルの人がいて、参加者は50人ぐらいだった。

そ して最後に行ったのが、MIT で行われるプラクティカ。行ってまずびっくりしたのが、会場が大学の教室だということだ。普通の教室で、椅子をただ周りに移動しただけ。その日に行われた 授業の内容が黒板に書いてあった。どうやら、電子工学の授業だったようで、はるか昔に見た事ある数式やら図式が書いてある。白板ではなく、いまだに黒板に チョークを使っているということには驚いた。

参加者は、若い。とても若い。ほとんどが20才前後?どうやら MIT の学生らしい。あまりの年齢差に気後れがして、最初は若い人に混じって数人いたやや年輩の女性とだけ踊った。若い人が多いせいか、タンゴ歴の少ない人が多 いせいか知らないが、クロースで踊る人は少なく、ヌエボのような踊り方をする人が多かった。

踊りの途中で立ち止まって議論しているカップルが1組ならず何組もいた。タンゴ理論を戦わせているようだ。中には黒板に図を書いている人もいる。さすが MIT、と感心してしまった。

学生が議論をしている中、数式に囲まれた教室で踊る。想像してみてもらいたい。なかなかシュールな経験であった。しかし、次回はたぶん行かないだろう。(せててもの救いは、ここが宿泊していたホテルから徒歩で行ける場所にあり、入場料無料ということだった。)

2006-02-04

ブエノスアイレス、タンゴ旅行情報

1 月下旬に待望のブエノスアイレスにたった1週間だが行って来た。これから行く人への参考にと思い、今回の旅の感想と豆知識を書く。以下、ブエノスアイレ スのことは、現地での短縮系 BsAs と記す。なお、ブエノスアイレスとは、Buenos Aires = 良い空気という意味だが、それは自動車が普及する前のこと。今はとてもじゃないが良い空気とは言えない。

表記について: 入力が面倒なので、スペイン語のアクセント記号は省略してある。ただし、nの上に波線をつけて「ニョ」の音を表すのは、波線をnの後ろに書いて、n~ と表記してある。


到着

北米からのブエノスアイレスへの飛行機は午前の遅くに到着になる。空港は、他の先進国の主要空港に比べると小さく、迷うことはないから安心。

入 国審査、荷物の受け取り、税関を通過して、出迎えの人達のいるところに到着すると、右側に両替商やらレンタカーやらのカウンターが並んでいるところがあ る。これらは無視して進み、カウンターの並びを過ぎたら右に180度回って、進むと銀行がある。友人の経験と、ガイドブックの説明によれば、米ドルの場 合、この銀行が一番両替率がよいので、ここでペソに両替しよう。

アルゼンチンは物価がやたらと安い。アメリカや日本に比べて3分の1と 思ってよい。また、現金社会で、現金で払うと1割引きになることがある反面、クレジットカードだと手数料割り増しとなったりするので、現金取引がお得であ る。ということから、滞在予定期間中いくら必要か概算して、両替率のよいこの銀行でペソにしておくのがお得である。とはいえ、盗難という観点からは、全額 ペソを現金で持ち歩くのは危険かもしれない。ということで、自分で判断してほしい。

オレはそのような目にあわなかったが、おつりを ごまかす奴やら、10ペソ以上のお札は受け取らない奴やらがいるので、できるだけ10ペソ札をたくさんくれるよう頼むの がよい。オレは、いい加減なスペイン語で、en diaz peso billetes, por favor (エン・ディアス・ペソ・ビヤーテス、ポルファボール)と言ったら、何となく通じて、10 ペソ札を20枚ぐらいまぜてくれた。もっと欲しかったので、100ペソ札を見せて、Cambia esto en diaz billetes, por favor、と言って、さらに10枚もらった。おお、なお、BsAs では、空港内の銀行の人すら英語をしゃべらないので、カタコトでもスペイン語は覚えていくべきである。

滞在中に必要なお金は、街中 いたるところにある銀行の ATM からおろすこともできる。(アメリカの銀行にドル建て預金のあるオレの場合。日本の銀行のATMカードがどの程度使えるかは不明。使えても手数料 をその度に取られるかもしれない。)、ATM でおろすのも結構為替レートがよく、別建てで手数料を取られることもないので、これも一考である。

なお、アルゼンチンで $ という記号があったら、これはドルの意味ではなく、ペソのことなので、間違わないように。AR$ と書いてある場合もある。米ドルは、US$。

無 事にとりあえず必要なペソが手に入ったら、市内へ移動。バスもあるが、タクシーが無茶苦茶安いので、これを利用しよう。空港ビル内にあるタクシー手配ブー スで頼むと市内まで、高速料金込みで50ペソ、空港ビルの外の小屋で頼むと何故かちょとと安くなり、45ペソである。いずれにせよ1500円ちょっとだ。 安い。なお、これはどの国でもそうだが、空港内にたむろして声をかけてくるようなのはたいてい白タクで、どういう目に遭うか分からないので、無視して歩こ う。ひつこくきいてきたら、No por favor (ノ、ポルファボール)とはっきり言う。もちろん日本語で「おい、いい加減にしろ」と迫力のある声で言ってもいい。


ホテル

ホ テルに着いたら、まず部屋をチェック。気に入らなかったら、違う部屋をみせてもらおう。オレは、これをしなかったので、最初の数日間、暗くてじめじめして 狭くてトイレの水槽の水が止まらない部屋に泊まるはめになった。後日抗議して替えてもらった部屋は、広くて新しくて明るい。これで同じ料金を払うの出から 腹が立つ。


市内交通手段

地下鉄が5系統走っていて、距離に関係なく 75 センタボス (0.75ペソ) である。カードを何回分が言って買う。1回分なら、「ウノ」、2回分なら「ドス」とだけ言えばよい。

バスは頻繁に走っていて、いろんな路線があり、便利らしいのだが、とても経路が複雑に入り交じっていて、ガイドブックを買わないと乗りこなせないらしい。オレは面倒なので、使わなかった。

外 国人にとっての BsAs の交通手段は、何と言ってもタクシーである。15分ぐらい乗っても10ペソいかない。つまり、350円。東京で地下鉄乗ってちょっと遠くに行くのとかわら ない。ただし注意する事は、屋根に Radio Taxi と書いた提灯(?)が乗っていて、ドアには登録番号の書いたしっかりしたタクシーに乗る事。また、どうせ同じ料金払うのだから、きれいなのを選びたい。中 にはボロボロの車もある。

実はオレは最初、ちょっと歩けば行けるところや、地下鉄で行ける所に行くのにタクシーを使うのに抵抗があって、 歩いたり地下鉄に乗ったりしていた。でもそうすると、いつのまにか結構な距離歩いて足が疲れて、タンゴのレッスンやミロンガに行くのがつらくなったりし て、BsAs に来た目的を果たせなくなることに気づいた。だから最後の方は結構短い距離でもタクシーを使うように心がけていた。何と言っても安いのだから、あまり気に する必要はないのだ。

タクシーに乗る時に便利な言葉:
  • Voy a ~ : ~ へ行く=行ってくれ (二人以上の時は Voy じゃなくて Vamos)
  • cerca ~ (セルカ) : ~ の近く
  • esquina de ~ y ~ : ~ と ~ の角

疲れたら

一 休みするには、カフェが便利。街中いたるところにある。コーヒー (cafe) や紅茶(te) を頼むと、普通はちょっとしたお菓子がついてくる。「cafe con leiche」とか「te con leiche」と言って、ミルクも頼むと、スチームして暖めた牛乳がついてくるのがうれしい。(これは、ラテンな国共通。どうして日本やアメリカは冷たい ミルクやクリームがついてくるんだろ う。)小さなオレンジジュースがついてくることもある。他にこちらで人気の飲み物は、cafe cortado (カフェコルタード) という、エスプレッソにスチームしたミルクをちょっと入れたもの。(アメリカでいうマキアートと同じ。)

インター ネット・カフェも一休みするのに便利なところだ。1時間1ペソしかしない。ただし、ほとんどの インターネット・カフェは、日本語が読めるようにはできてないので注意が必要。もし日本語機能が必要なら、使い始める前に日本語が使えることを確認しよ う。すでに使える器機のある ところもあるし、ちょっと知識のある人がいれば日本語フォントをインストールしてくれる。オレが試した4軒のうち、1軒はすでに日本語フォントがインス トール済みで、もう1軒はその場でインストールしてくれた。


タンゴ情報の収集

まず、市内に何カ所かある観光局のブースにいって、タンゴマップをもらおう。これは、通りがすべて書かれた結構細かい地図と、別冊のミロンガ一覧表からなっていて、諜報する。ただしこれ、品切れ気味なので、そうするとちっぽけな地図をくれておしまいになる。

ミ ロンガ会場とかで入手できる、el tangauta という雑誌には、レッスンが曜日時間順に載っているので、空いた時間にレッスンを入れるのには都合がいい。レッスンのスケジュールは、この雑誌のウェブサ イト www.eltangauta.com で見る事もできる。

BA Tango という名前の雑誌が2種類あるが、小さい小冊子風の BA Tango には、レッスン情報が載っている。

市 の中心地、Plaza de Mayo (プラザデマージョ;アルゼンチンでは y も ll も ジョと発音する) からほど近い、歩行者専用の Florida 通りと Viamonte 通りの交わるところに大型高級ショッピングモール、Galaria Pacifico というのがある。この中に併設して文化センターのようなところがあり、そこにある Escuela Argentina de Tango では、平日朝から晩までほぼ休みなく何らかのタンゴのレッスンが行われている。ここの教師とスタッフは英語もカタコトでわかるので、便利だ。とりあえず訪 ねてレッスンの予定表だけもらっておこう。


レッスン

タ ンゴのレッスンは、大きくわけて2種類の場所で受 ける事ができる。ひとつは、ちゃんとしたダンス・スクール。もうひとつは、ミロンガ会場でミロンガの2時間ぐらい前にあるレッスンだ。オレのごく限られた 経験では、ミロンガ会場でのレッスンは、いい加減になりがちだが、しかしミロンガによってはまともなレッスンを受けられたという報告もあるので、何ともい えない。

ただ、レッスンを受けた直後では足が疲れてしまうのと、どうせ昼間はヒマなので、午後にひとつレッスンを取り、夜はミロンガへ行く(レッスンは受けない)、というのがいいパターンのような気がする。

レッ スンはもちろんスペイン語で行われるので、右とか左とかの基本単語は覚えておいたほうがいいだろう。事前に先生が英語をしゃべれるか聞いておいて、もし しゃべれるのなら(そしてあなたが英語のほうが得意なら)、私はスペイン語はよくわからないので、英語もしゃべってくださいと自分のほうがから挨拶してお くのがよいだろう。以下、レッスンで出て来そうな単語を適当に羅列してみた。

  • hombres(オンブレス): 男(複数形)。つまり、リーダーのこと。
  • mujeres(ムヘレス): 女(複数形)。つまり、フォロワーのこと。
  • marca(マルカ): マーク=印、というのが元々の意味だが、タンゴではリードのこと。
  • cruzor: クロスする
  • cruzado: クロスすること。した状態。
  • derecho(デレッチョ): まっすぐ
  • derecha(デレッチャ): 右。まっすぐと右は、最後の母音が違うだけなので、要注意。
  • izquierda(イスキエルダ): 左
  • abrazo: 抱擁
  • paso: ステップ
  • bailar: 踊る
  • cambiar: 替える。お金の両替の時にも、踊りの相手を替える時にも使います。
  • ortra vez: もう一度
  • pausa(パウサ): ポーズ(一時停止という意味の)

多人数のグループでのレッスンでは、わからない時は自分から先生にわからない、といわないと、ほっておかれてしまう。スペイン語がわからないからぁ、とか、他の人に悪いからぁ、みたいに日本人的発想はやめて、どんどん聞きに行こう。


極私的ミロンガ寸評

オレの行ったミロンガの感想。あくまで1回行っただけの経験にすぎないので、あくまで参考ということで。外人と書いてあるのは、地元の人ではない、という意味。

  • La Nacional: 中規模な大きさのミロンガ会場。地元の人も何人か踊ってくれた。
  • La Viruta: 意味は「shaving」(剃る?). Armenia Associacion (アルメニア協会) のビル地下の巨大ビアホールのような所で行われる。キッチン完備で、ピザとかスパゲティとかもメニューにある。大理石の床。ややオルタナティブっぽい曲も 割とかかるが、踊りやすい。照明が暗くてよく相手の顔が見えない。外人タンゲーロ多し。年齢層低い。他のミロンガよりフレンドリー。4時終了と称して5時 に終わる。最後の La Cumparsita は10分以上ある長い長いバージョンだった。
  • Mina Milonga (Parakurutural?): Salon Canning という名前の大きなミロンガ会場で行われる。外人タンゲーロ多い。地元の人は誘ってもなかなか踊ってくれない。
  • Sombras de Tango:大きな会場。食事もできる。仲間と見に来ているだけの人もいる。地元のミロンゲーロはなかなか踊ってくれない。
  • El Cachafaz: Sombres de Tango と同じ会場で行うが、主催者が違うので、飾り付けも違う。割といい雰囲気。
  • Ideal: Ideal (イデアル)というのは、実は場所の名前で、ここではいろいろな主催者によりいろいろなミロンガが行われる。ここで2つミロンガに行ったが、両方とも「ハ ズレ」であった。1回目はやたらと混んでいて座る所もない。半分ぐらいは観光客で、踊れない人達。30分音楽流したら30分誰かのデモやら演奏やらで、踊 る時間が少ない。2回目行ったのは、夕方のミロンガ。参加者の年齢層はかなり高い。その日はとても暑い日だったのだが、冷房はなく、天井の扇風機が半数以 上壊れていて会場内蒸し暑く、座っているだけで疲れそうなので帰る。オレはいい思いしなかったが、イデアルのミロンガ(のどれか)が好きという人もいるの で、この批評気にせずに、何回かは行ってみるべきだろう。
  • El Motivo:これは、ミロンガではなく、プラクティカ(練習会)。Salon Canning 近くの、Villa Malcom という小さな会場で行われる。 若い人多い。プラクティカなのでラフな服装。照明は明るい。オルタナティブも多数かかるが、あくまでタンゴのリズムがある踊りやすい曲。
  • El Beso:小さめのクラブ、といった感じのところ。日曜日の深夜過ぎに行ったが、ちょうどデモをやっているところで、それが終わったら人が帰り始め、2時 過ぎには常連さんだけになってしまい、店は閉店準備状態。スケジュールでは4時までやっていることになっているのだが。
  • Porten~o y Bailarin: 外見はサルサ・バーの雰囲気。小さな踊るスペースが2カ所に別れてある。ミロンガの前にレッスンを受けたが、いい加減な教え方だった。ミロンガ始まって1時間ぐらいいたが、外人としか踊れず。地元の人は踊ってくれない。

その他

Callao (カジャオ) 街と Aveneda Corrientes 通りの交差点にある、Zivals は、スグレもののCD屋さんだ。全てのCDタイトルを試聴機で聞く事ができる。使い方は、CDのバーコードを試聴機のレーザーに当てるだけ。BsAs では、国産 CD は1枚20ペソ(700円!)前後で売られているので、タンゴの CD は買わないと損だ。なお、この店は、ウェブサイトを持っていて、世界中どこからでも通販で買う事ができる。値段は現地で買うよりやや高いが、それでも一枚1000円ぐらい。$xx.xx と書いてあるのは、アメリカドルじゃなくて、アルゼンチンのペソのことだから、びっくりしないように。URLは、http://www.tangostore.com/home.php?lang=e だ。

FMラジオを持って行けば、92.7 MHzでタンゴ専門局を聞く事ができる。トークとタンゴだけの局だ。実はこの局、インターネットで聞く事もできる。URL は、http://www.la2x4.gov.ar

20ドル札のニセ札が横行しているそうだ。20ドル札を受け取った時は、すぐにスカシがあることを確認しよう。これは失礼な行為ではない。

地下鉄 B 号線を走っているのは、懐かしい丸ノ内線の車両であった。ブエノスアイレスで晩年を過ごしていたのか。