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2008-03-20

五木寛之がタンゴについて書いていた

この前サンフランシスコの私立図書館の日本語図書のある分館をうろうろしていたら、たまたま「ふり向けばタンゴ」という文庫本を発見して、思わず借りてしまった。五木寛之著で、1980年代に書かれたと思われるエッセイ集で、どれもがタンゴとは限らないが音楽に関する話を集めてある。

これによると、ニッポンではタンゴというと、基本的には音楽が主流らしく、タンゴを聞かせる喫茶店とかがあって、マニアが難しい顔してタンゴを聞き、蘊蓄を傾けていたらしい。しかし、昭和30年前後は、ダンスも流行っていて、東京には、タンゴの生バンド付きのダンスホールがたくさんあったそうだ。タンゴが東京でそんな風に流行っていたことは初めて知り、驚いた。東京だけでなく、地方都市でもタンゴがかかっていたそうだ。もっともこのブームは長続きせず、ほどなくジャズとディスコに置き換わったそうだ。

著者の説では、タンゴとジャズは、両方とも港町で生まれた双子だとあるが、これはいまいち説得力に欠けるような気がする。

腑に落ちないのが、タンゴの踊り方に関する記述。「タンゴは、男と女が向いあってはいるけれども、真っ直ぐに向きあわない」とあるけど、オレの知っているタンゴは、向き合うぞ。「ときには顔をそむけるような形でおどる。」「女は女で突っ張っている。」何だかちょっと違わない?これ、ひょっとして、ボールルームのタンゴのことじゃないのか?しかし著者は他のところでは、アルゼンチンタンゴとコンチネンタルタンゴは別物であることはちゃんと認識しているようなので、ますます謎だ。ひょっとして、50年前のタンゴの踊り方と今のやり方は違うのか?そりゃ多少は違うだろうが、そんなには違わないはずだ。というのは、アルゼンチンでのタンゴ黄金時代のドキュメンタリー映画を見たことあるが、今とそれほど違うような踊り方はしてなかった。ニッポンだけが、違っていたということだろうか?謎である。

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