日本のミロンガにタンダがない理由
1年ぶりに東京へ行って、ミロンガやプラクティカに出没した。前回までは、東京のタンゴ界は、ベイエリア(サンフランシスコ)に比べて女性比率が高くしかも若い人が多いというので男性としてはウハウハ状態で冷静に観察していなかったが、今回は3度目なのでちょっと冷静。東京のミロンガで気がついたことは、
- 音楽が連続してかかる。コルティーナ(中休みにかけるタンゴじゃない曲)がなくて、タンダ(連続してかける同じ種類の3〜4曲のセット)になっていない。
- フロアーマナーがなっていない。逆行、横断、急なレーン変更をする人が多い。ぶつかっても謝らない。狭いところでもオープンで踊り、場所を取るステップをする。
- 入場料が高い!
フロアーマナーは、まあ程度の問題で、ベイエリアにもひどい奴らはいる。入場料が高いのは、まあ東京の地価を考えればわからないでもない。(でもベイエリアの地価は東京を抜いた感がするので、あんまり理由にはなってないな。)しかし、タンダをしない理由、というのはどうもわからなかった。
東京でミロンガを主催している先生と話す機会があった時に、どうしてタンダがないのか、理由をきいてみた。すると、タンダにすると、退屈だ、と文句が出るから、という答えだった。同じ種類の曲を、3曲どころか、2曲連続しただけでも文句を言う人がいるらしい。退屈なだけでなく、2曲目をどう踊っていいかわからず、困ってしまう人もいるらしい。これは、社交ダンス出身の人が多いことに関係あるのではないか、と言っていた。(社交ダンスのパーティーでは、1曲ごとに違う種類の曲がかかるらしい。)
2曲で退屈する?オレに言わせれば、それは、音楽を聴いてない証拠だ。タンゴの曲は、当たり前だが、それぞれ違う。曲を二人で感じ、共有しながら踊るのがタンゴだとオレは思う。ちゃんと音楽を聞いていれば、退屈ってことはないはずだ。それをしないで、タンゴのステップを踏んでいるだけでは、タンゴではない。
退屈という人たちはきっとステップを踏むのが重要で、音楽は単なる付け足しと思っているのだろう。そういえば、ミロンガの前のオマケのレッスンを、東京では「ステップレクチャー」と呼ぶようだが、その辺にも、ステップ重視、音楽軽視の傾向をうかがえる。
繰り返すが、音楽聞かないで足だけ動かすのはタンゴじゃない。逆に極端な話、音楽をよーく聞いてそれに合わせて二人で歩くだけでも立派なタンゴである。