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2006-07-16

プロビデンスのウォーターファイアー・ミロンガ

たまたたま (計画的という噂も:-) 週末をはさんだボストンへの出張があったので、その週末にたまたま (計画的?) に隣のロードアイランド州の首都プロビデンス市で行われたウォーターファイアー (Waterfire) というイベントの屋外ミロンガに行ってきた。



ウォーターファイアーというのは、プロビデンスのダウンタウンを流れる川に松明(たいまつ)を燃やすアートインストレーション。毎年夏期にだいたい隔週土曜日でわれる。


(www.waterfire.org より。著作権は同サイト参照。)

この日は道を閉鎖し、屋台も出て、町を挙げて行われるお祭りのようになる。松明用の木とかは、あらかじめ昼間のうちに、水面に固定した台(100台以上ある)に用意してあり、日没になると、白装束の男がボートにのって登場。儀式めいた方法で、火をつけていく。川沿いに設置したスピーカーからは、なにやら荘厳な感じの音楽が流れる。松明に火がともると、観客もそれに見とれ、静かな雰囲気となる。火というのは、なかなか不思議なものだ。ゆれる炎を見ているだけで幽玄な雰囲気になる。松明の匂いや音もいい。こういう感覚は、写真が動画を見るだけではだめで、現場にいないと味わえない。


この川面に浮かぶ松明に付随して、コンサートとか他のイベントも行われる。その一環で、屋外ダンスフロアーがあり、この日は、プロビデンス・タンゴ の協力でタンゴの日。8時から12時まで、ミロンガが行われたというわけだ。ニューヨークからタンゴのトリオ楽団もやってきて、生演奏付き。プロビデンス・タンゴ精鋭によるデモもあるという。

お祭りの日だけあって、どこのレストランもいっぱい。夕食が終わったのが10時で、それからダンスフロアーへ行ったら、もう10時半になってしまった。さっそくタンゴシューズに履き替えるが、いつものミロンガと違って、まわりにいる人たちほとんどは観客なので、誰がダンサーなのか見極めるのが大変だ。タンゴシューズっぽいものを履いていて、ステージの近くでたむろしているそれらしき人に何人か声をかけ、やっとダンサーの女の子を確保。しかし、最初の子は、超初心者なのか、スタイルが違うのか、いまいちのノリで、2曲で、ありがとう(と言うのがミロンガにおける、もうおしまい、の意味)。


まあ、相手との相性も問題あったが、それよりも問題なのがこのダンスフロアー。オレはまた、ちょっと滑りやすい石畳で踊るのだろうと想像して、ちょっとグリップのあるタンゴシューズを持ってきたのだが、フロアーは、石畳ではなく、わざわざ移動式の床を石畳の上に置いて作ってある。この床が、凹凸のある作りで、ちっとも滑らず、回転が大変。オレも大変だが、何回も回される女の子は、たとえ滑りやすい靴を履いていても、もっと大変だろう。




屋外ミロンガ ((c) 2006 Kurosaka Teruhiko)


次に踊った子は、リズムはいいし、経験もちょっとありそうだ。だが、オープン(体の間をあける)で踊りたい雰囲気だったので、そのままにしたところ、いつもはクロース(密着)で踊るオレとしては、どうも調子がのらない。「この辺は、クロースで踊るのははやらないの?」と何気なく聞いてみると、クロースでも OK というありがたいお言葉をいただいたので、クロースで踊る。やっと調子がでる。その子と3曲踊ってから、休んでいると、以前の出張でボストンに来た時に踊ってくれた女の子に出会い、踊る。この子とはなかなか息が会い、何曲も踊る。


この夜のもうひとつの障害は、タンゴダンサーでない飛び入りの人たち。タンゴのものまねをする人はまだ許せるが、サルサを踊ってみたり、ディスコで踊るような勝手な踊りをしてみたり、フラメンコのまねしてみたり。それでもフロアーの真ん中でそういう踊りをする人たちはまたよくて、円周の近く、つまりタンゴダンサーが踊っているところで、大技を演じられたり、急に飛び込んできたりすると、まったく危険きわまりない。日本人と違って物怖じしないアメリカ人の奔放さは、いいこともあるが、こういう時には困ってしまう。というわけで、waterfire ミロンガでの踊りは、なかなか神経を使うものであった。


ところで、なぜか知らないが、タンゴとフラメンコを勘違いしている人が世の中には多いようだ。最近タンゴやっているんですよー、と昔からの知り合いに話すと、フラメンコと勘違いしているとしか思えないとんちんかんな反応が反ってくることが多い。これ、日本人だけかと思ったらそうでもなくて、YouTube を tango で検索すると、フラメンコが出てきたりすることからも、この夜のダンスフロアーで、フラメンコのまねごとをしていた若者がいいることからもわかるようにアメリカ人も結構勘違いしている。スペイン語圏のペアダンスということで、十把一絡げになっているんだろうか?